板橋区の公衆喫煙所について安全性を周知していくそうです。
板橋区の公衆喫煙所問題がテレビでも放送され、話題となっています。区の担当者より喫煙所の安全性の周知を行っていくそうです。ただ、気がかりなのは区から安全性を周知したところで、区民からは公衆喫煙所ができることによる危険性を訴えているわけですからそう簡単には納得されないと予想ができます。
https://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=46513974
そもそも「安全」とは?
安全について調べてみますと、国際規格iso/iecガイド51において、許容不可能なリスクがないこと。 とされています。要は、絶対安全というものはないらしく、どのくらいリスクを抱えられるかがポイントとなるそうです。どのくらいのリスクを許容できるのかは人それぞれ変わってくるかと思います。例えば、歩きスマホはどうでしょうか?歩きスマホは周囲が見えずに、他の人にぶつかったり、段差を踏み外して転んで怪我をする危険性があります。ただ、歩きスマホをしている人物は、そのリスクを許容してしまっているため安全と思ってしまい、歩きスマホをしてしまっているのではないでしょうか?
では「リスク」とは?
これも国際規格iso/iecガイド51において、危害の発生確率及びその危害の度合いの組み合わせ。とされています。
つまり、
リスク=危害がどのくらいで発生するか×危害が発生したときの被害規模
で説明ができるかと思います。
先ほどの歩きスマホでたとえれば、歩きスマホをしていて事故や怪我をする確率に、事故や怪我をしたときの被害の大きさの組み合わせと思えばわかるかと思います。これも人によって、認識は変わります。日常でいっぱい事故が起こっていたり、大怪我をしたりするのがわかっていれば歩きスマホをする人は少なくなると思うのですが・・・。
板橋区の公衆喫煙所のリスクとは?
「危害がどのくらいで発生するか」は喫煙所が運用され始めてしまえば、高い確率で受動喫煙が発生します。
「危害が発生したときの被害規模」については、当然ながら、子供、妊娠されている方、呼吸器に病気を抱えている方も含め受動喫煙にあいます。厚生労働省からも年間15000人近くの方が受動喫煙によって亡くなっているとされています。
板橋区民の方も、これらのことからリスクを許容することができず、安全ではないと主張をされているのではないのでしょうか。
板橋区の主張する安全性とは?
では板橋区としては何をもって安全性アピールをするのでしょうか。ニュース映像を見ますと次の2点により安全性を周知するとしていました。
1 喫煙所内の圧力が低く、外に煙が流れません
2 排気口にダクトをつけて他の場所に排気を行います
1については、喫煙所内の圧力を調整することで外にタバコの煙が流れませんとのことですが、次の点について対策は取れるのでしょうか?
①説明会において区民からサードハンドスモークについても不安が上がっていました。これは喫煙所内の圧力では対応ができませんがどのように安全性を証明するのか?
②停電や機械の不具合によっては喫煙所内の圧力を調整することができなくなります。圧力の調整ができなくなったときは喫煙所を即座に閉鎖することが可能なのか?センサーや停電を感知して警報を出すような仕組みはあるのか?
③煙が外に漏れていないことを連続して観測することができるのか?
④③によって、強風が吹いたときでも確実に煙が外に漏れていないかを確認できるのか?
2についても次のような疑問が出てきます。
①区役所側にダクトを伸ばして排気をするとのことだが、風が吹けば結局は駅入口や歩道側に煙が流れてきてしまう。そうなればダクトを伸ばしても結果は変わらないのではないか?
②安全性の問題ではないですが、新たなダクトを作成するのにどのくらいお金がかかるのでしょうか?見積額は出せるのでしょうか?お金の追加費用に区民は納得ができるのでしょうか?
知識のない人間でもこのぐらいは疑問に思うのではないかと考えます。これらをどれだけ丁寧に説明し、板橋区民の考えるリスクを低くできるかがポイントとなります。
公衆喫煙所問題については、板橋区は板橋区民との許容できるリスクについて共有できなければ解決することはできません。一方的に安全性を訴えても板橋区民は納得はできないでしょう。当然のことながら、公衆喫煙所がなければ、「危害がどのくらいで発生するか」は、路上喫煙を考慮しても限りなく低くすることができます。つまりリスクを低下させることができ、板橋区民も板橋区役所を安全と認識することができます。今回は「危害が発生したときの被害規模」については、大きく変動することはないので、「危害がどのくらいで発生するか」について注目する必要があります。板橋区としては、安全性を周知していくとのことなので、この「危害がどのくらいで発生するか」をいかに低減することができるのか説明が求められるでしょう。そのため、法令を守っている、ガイドラインに沿っているではおそらく誰も納得はしないと思われます。
板橋区民ともっと時間をかけてみては?
今回は準備不足で区民と対話をする時間もなかったのかなと感じています。喫煙についてはどうしても対立関係が生じてしまいますので、喫煙者、非喫煙者がともに納得できる施設作りはできません。予算を作って、施設を運営する以上は板橋区民が住みやすいと思えるような街づくりが求められます。一度、立ち止まって、喫煙所の設置については白紙に戻しても良いかも知れません。もしかしたら、きちっと時間をかけて話し合いをしていけば、実は喫煙所よりも優先度の高い敷地の利用方法が見つかるかもしれません。
前回の記事はこちら