JR海浜幕張駅高架下喫煙所とは?
たばこ会社より支援を受けて駅周辺のポイ捨てをなくすために喫煙所を設置しておりました。
この実証事業の結果によっては、他の駅にも喫煙所を設置する計画でしたので今回の結果公表は非常に大事なものとなっております。
ただ、あくまでもポイ捨てをなくすことが目的であり、受動喫煙については一切配慮されていませんので注意も必要です。
千葉市HP:路上喫煙及びポイ捨て防止
実証事業結果
https://www.city.chiba.jp/kankyo/junkan/haikibutsu/documents/koukakensyo24months.pdf
調査項目結果は!
(1)平均過料件数
1.45件/日→0.45件/日の結果となり3分の1とかなりより数字を出しておりますが、対象は紙たばこのみとなっており、加熱式たばこや電子タバコは対象外となっております。また、コロナウイルス感染拡大防止のためにそもそも人が出歩かなくなったことも要因として考えられるため喫煙所ができたことで過料件数がここまで減ったかどうかまではわかりません。
(2)平均散乱ごみ数
10.6個/回→7.0個/回と3割減っています。
3個減ったのは確かかもしれませんが、誤差の範囲といえなくもないです。これで効果ありといえるのかはわかりません。
(3)路上喫煙率
0.007%→0.006%と減っていますけれども、この数値は本当に誤差だと思います。加熱式たばこや電子タバコは対象外となっていますので路上喫煙率は数値に入っていません。
(4)浮遊粉塵濃度
いろいろ数値を出していますが、どのように計測したかもわかりませんし、いいときの数字のみを使っているのではないかとの疑問があります。この項目についても一体何のためにだしているのかも定かではありません。
(5)市民からの意見
肯定的意見 1件(喫煙所利用者)
否定的意見 3件(煙や臭いの漏れに関する指摘 2件、喫煙所設置に反対 1件)
前回からあまり変わっておりませんが、こちらについては船橋市のように広く情報公開をして市民から意見を募っていませんので仕方ないのかもしれません。パブリックコメントをおこなって市民の意見を広く取り入れるのであれば数字もだいぶ変わってくると思われます。
この実証事業自体を終えて千葉市はどのように考えたのか!
結果は各項目の数値が良い方向に改善し、市民からの意見が2件しかないから影響は軽微であるとの判断でした。
<検証結果>
○喫煙所の設置前後を比較すると、設置後は平均過料件数、平均散乱ごみ数及び路上喫煙率の減少が見られ、喫煙所の設置が違反行為の防止に一定の効果をもたらしたと考えられる。
○浮遊粉塵調査において、喫煙所付近と遠方とでほとんど差がなく、また、煙や臭いに関する市民からの意見も2件しかなかったことから、喫煙所が周辺環境へ与える影響は軽微であり、喫煙所周囲への十分な対策が講じられていると考えられる。
○過料対象者へのアンケートでは、約69%の者が喫煙所の存在を知らなかったことから、引き続き喫煙所の更なる周知を図っていく必要がある。
検証結果に問題点はないのか?
1 受動喫煙について検討されていない
今回の実証事業はポイ捨てを対象としており受動喫煙については考慮されておりません。ゴミのポイ捨てがなくなったことは非常に喜ばしいことかと思いますが、たばこに関する問題はポイ捨てだけではありません。喫煙所を置くことで受動喫煙の被害が拡大していないのか見当が必要です。
2 加熱式たばこや電子タバコが反映されていない
平均過料件数、平均散乱ごみ数及び路上喫煙率の減少が見られ、喫煙所の設置が違反行為の防止に一定の効果があったとしていますが、この結果については加熱式たばこや電子タバコが反映されていません。もし、加熱式たばこや電子タバコの数値を反映した場合はどのようになるのでしょうか?本当に喫煙所が有効であるかを検証するためにもたばこの種類を限定すべきではありません。
3 新型コロナウイルス感染拡大防止に対する影響が考慮されていない
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、外出する方が減った影響は考慮されているのでしょうか?実証事業の結果において喫煙所以外の影響が大きいものもあります。そのあたりの考慮がされているのかがわかりません。
4 市民からの意見が反映されていない。
市民からの意見が2件しかないから喫煙所が周辺環境へ与える影響は軽微というのはかなり乱暴な考え方です。においや煙が漏れているという意見があるのであればほかの人も同じ状況と考えるべきです。船橋市と同様にパブリックコメントを行い、しっかりと意見を聞いてから判断をすべきではないでしょうか?
千葉市議会はこの実証事業の結果に待ったをかけています。
千葉市議会においてJR蘇我駅西口喫煙所設置を見直すよう求める決議が可決されました。内容としては主に下記通りです。
新型コロナウイルス感染拡大の第3波の到来により、日々、重症患者が増加し、全国各地で医療体制の逼迫が深刻な問題となっている。
WHOからは「喫煙者は非喫煙者と比較して、新型コロナウイルスへの感染で重症となる可能性が高いことが明らかになった」との報告が発表されている。
本市では、平成30年に、市民の健康増進のため、健康増進法の規制を強化した千葉市受動喫煙の防止に関する条例を制定し、受動喫煙の防止を図る取り組みを進めているところである。
受動喫煙防止の観点はもとより、新型コロナウイルス感染による重症化防止の観点からも、喫煙者がたばこをやめられるようなサポート体制を構築し、喫煙者を減少させる取り組みが求められている。
その一方で、本市は路上喫煙の防止にも取り組んでおり、平成30年10月から2年間、JR海浜幕張駅高架下の喫煙所設置による実証事業を行い、路上喫煙等を禁止する条例の違反行為の防止に一定の効果が見られたとして、現在、新たにJR蘇我駅西口に喫煙所を設置し、令和3年2月下旬以降に供用開始することを計画している。
たばこを吸う人を1カ所に集めて、お互いに受動喫煙となる状況とし健康被害を拡大させる喫煙所の設置事業は、「市民の健康増進を図る」という受動喫煙防止条例の趣旨に反するのみならず、市が喫煙を助長する結果となり、新型コロナウイルスの感染拡大の下で重症患者増加にもつながりかねないものであり、看過できるものではない。
よって、本市議会は、現在計画中のJR蘇我駅西口喫煙所設置を見直すよう強く求めるものである。
以上、決議する。
特に注目したいのは、「本市は路上喫煙の防止にも取り組んでおり、平成30年10月から2年間、JR海浜幕張駅高架下の喫煙所設置による実証事業を行い、路上喫煙等を禁止する条例の違反行為の防止に一定の効果が見られたとして、現在、新たにJR蘇我駅西口に喫煙所を設置し、令和3年2月下旬以降に供用開始することを計画している。」の部分です。一定の効果があったと千葉市は主張しているが、千葉市議会としてはその点について異議を唱え、さらなる喫煙所の設置に反対をしています。
もし、実証事業内容そのものに疑問があれば喫煙所設置の拡大を防ぎ、受動喫煙の被害をなくせる可能性が出てきます。JR蘇我駅の喫煙所設置が白紙になるようなことがあれば、それはjR海浜幕張駅前の喫煙所も同様に撤去すべきとの流れになります。